老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅に入居するとき、多くの施設が入居契約書に「身元保証人」または「身元引受人」の署名を求めます。本人のほかにもう一人、入居中に起こりうる事態へ一緒に対応してくれる人を立ててほしい、という趣旨です。法律で必ず立てなければならないと決められているわけではありませんが、実務上は入居審査の重要な条件になっています。
なお国は、身元保証人がいないことだけを理由に介護保険施設が入所を拒むのは適切ではない、という趣旨の考え方を示しています。それでも現場では「保証人がいないと難しい」と言われるケースがまだ残っており、事前に準備しておくほど選べる施設の幅は広がります。
| 役割 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 緊急時の連絡先 | 急な体調変化・転倒・入院の連絡を受け、必要に応じて駆けつける |
| 医療や介護方針の確認 | 治療方針やケアプランの説明を受け、本人の意思をふまえて確認する |
| 利用料の支払い保証 | 月額利用料の滞納が生じた場合に支払いを引き受ける |
| 退去・死後の対応 | 退去時の居室の明け渡し、私物の引き取り、亡くなった後の遺体・遺品の引き受け |
施設がもっとも重視するのは、実は4番目です。入居者が亡くなった後に居室が片づかない、私物の引き取り手がいないという事態は施設運営に直結するため、「最後まで連絡が取れる人がいるか」が審査の核心になります。
似た言葉が並びますが、担う範囲が異なります。
契約書では「身元保証人」の一語にすべてが含まれていることもあれば、身元引受人と連帯保証人の二人を立てるよう求められることもあります。呼び名にとらわれず、契約書の条文で「何を」「どこまで」求められているかを読み込むことが大切です。
多くの施設は「配偶者以外の親族」「原則として現役世代」「安定した収入があり日本国内に居住していること」といった条件を設けています。実際に多いのは子ども、きょうだい、甥・姪です。同居していなくても構いませんが、遠方すぎると緊急時に駆けつけられないため、片道1〜2時間圏内を望ましいとする施設もあります。
友人や知人を認める施設もあるものの、金銭債務の保証を伴うため断られることが少なくありません。頼む場合は、金銭保証を含むのかどうかを最初に施設へ確認しておくと話がスムーズです。
65歳以上の単身世帯は増え続けており、保証人を頼める相手がいないという相談は年々多くなっています。典型的なのは次のようなケースです。
大切なのは、「保証人がいない=施設に入れない」ではないということです。後編では実際に取れる5つの対処法と、身元保証会社を利用する場合の選び方・注意点を具体的に見ていきます。
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